正午近くなってようやく呼び込まれた

 正午近くなってようやく呼び込まれた。査証だけではすまなくて、ここでも、様々と手のこんだ訊問を行ったのち、こんな達示をした。明日以後は、ホテルに宿泊している外国人は、ホテルから一括して査証を受けさせるが、その代り、市中通行を禁止する。それによって、何等かの被害を受けても、当局は、その責めに応じない、...

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一人の人影もなかった

 一人の人影もなかった。長い廊下の端で、窓掛が風にゆれているだけだった。息苦しいほどの緊張が全身をひきしめる。遠い昔に忘れていた、一種決然たる闘志が発刺と胸に甦ってきた。われともなく、拳を握った。「そういうわけなら、こちらにも覚悟があるぞ!」 それにしても、この長い間、じぶんの懐で温めていた、あ...

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寝台の側までもどって来た

「廻りっくどいことはいらない。査証を受けに行ったついでに、軍司令部へじかにぶつかってみてやれ。それでいけなければ、文部次官のところで……」 部屋を出ようとして、習慣的に、左の手が胸の衣嚢のところへいった。(そうそう、昨夜枕もとの夜卓《ターブル・ド・ニュイ》の上へ立てかけておいたんだっけ) また...

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